円山裏参道に誕生した本格ナポリピッツァのお店Lucci(ルッチ)。お店の情報や旬な話題、ルッチの日常や裏話を綴る   スーペルブログ。         (C)2008-2009


by pizzerialucci
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早朝の屠畜

今週の火曜日水曜日と、私が勤めているリストランテと契約している、豚を飼って生ハムやサラミを造り、オリーブオイルも造っている農家(ジャルディーニ家)に手伝いに行きました。
人手が要ると言うのも、イタリアでは通常冬の寒い時期に行われる、農家にとっては重要であり重労働でもある、屠畜そして生ハム・サラミを造る、その当日だったからです。

朝6時に農家に集合すると、大量の薪がくべられたコンロの上には、湛えるお湯を絶え間なく沸かし続ける大きなドラム缶がある。みんなタバコを吸い、いつものように振舞いながらも、そこに漂うのは誰もが感じざるを得ない張り詰めた空気。
その日は午後までに2頭の豚を屠畜し、血を抜き、内臓を、傷つけないように取り出す。農家の主であるフィオレッロ・ジャルディーニ70歳が、豚を無駄にすることなく使うことだけが、唯一豚に敬意を払う方法だと、この人に言われて本当に納得できる印象的な言葉でした。

翌日も早朝に集合し、皆で手分けして今度はサラミ等の仕込みにかかる。
スジがなく味が良い部分の肉、その他の肉、皮とスジはそれぞれ分けて、腸はサラミ等を詰めるためにしっかり洗って長さを揃えて切って・・・と言った具合に男5人で黙々と作業する。
仕込んだのは、生ハム、肩肉の生ハム、サラミ、サルシッチャ(イタリアのソーセージ)、コテキーノ(肉と脂身と皮、スジなどを挽いて腸に詰めたもの)、コッパ・ディ・テスタ(頭の部分を使って造るサラミの一種)。肉を挽いたり、塩、胡椒、スパイスを計って、混ぜて。
サラミ、サルシッチャは腸に詰めて麻の紐で縛って、吊るして乾燥させて・・・生ハムを造る部位、頬肉の塊等は塩、胡椒、スパイスで覆い、一定期間塩分を中に入れ水分をだす。

この屠畜から生ハム造りまでの一連の出来事は、別に体験しなくても生活していけることだし、料理を作っていけるかもしれない。しかし、敢えて体験することによって初めて自分の中で咀嚼し始める事がことができる、料理することの中で生と死の持つ意味合いと、改めて自分自身に刻まれた食材を無駄にすることなく使う大切さ、そして感じる、それを可能にした先達の知恵と工夫と技術への感謝・・・
今まで普段何気なく触れてきた、生ハム、サラミや豚肉も、生と死、それと隣り合わせに生きる農家の人の生活、イタリアに伝わる先達が築いた食習慣、
これらを目の当たりにして思うことは、多い。c0188145_9273917.jpg
屠畜の前の小屋の様子、右がフィオレッロ


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サラミ用に荒く挽いた赤身にサイコロ状に切った脂身を混ぜる。生ハム造り60年のプロ、ジュリオ・トンビーニ
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by pizzerialucci | 2009-02-13 10:03 | 遠距離シェフの日記