円山裏参道に誕生した本格ナポリピッツァのお店Lucci(ルッチ)。お店の情報や旬な話題、ルッチの日常や裏話を綴る   スーペルブログ。         (C)2008-2009


by pizzerialucci
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ:遠距離シェフの日記( 13 )

Serata Giapponese

c0188145_101487.jpg去る7月28日、僕が勤めるレストランのオーナーの友達で、これまたレストランとホテルを経営しているFlavio氏の提案で『Ma come mangiano I Giapponesi』:「日本人は一体どういう食事をしているの?」 つまり、国際的に有名なSUSHIではなく、普段でも祝い事でも日本の家庭の食卓で食べるものを、というテーマで50名限定の日本食メニューの食事会を開催しました。調理に当ったのは僕と主催者のレストランに勤める日本人女性コックNさん。
ここのレストランは海沿いにあり「冷凍魚と新鮮な魚の味の違い」と言うテーマのイベントや、マルケ地方の魚のスープ「Brodetto:ブロデット」普及のイベントを開催したりしており、魚は毎朝すごく新鮮!なのが入り、夜のうちには粗方なくなってしまう、こだわりの新鮮な魚を、伝統的なマルケの手法で食べさせてくれるレストラン。個人的にここのレストランが本当に好きで何度も食事に伺っていたのですが、お会計の時にことごとく食事代は受け取ってくれず、「お代はいいから、いつか日本食のパーティーをやって欲しいなぁ」といつも言われていたのでした。
メニューをパソコンで作り、雑誌や新聞に広告を打ってもらって、最大で50人しか予約を取らないということで決めていました。ローマやミラノならともかく、どちらかと言うと田舎だし、せいぜい20人位で出来たらいいなぁ、と個人的には思っていたのですが実際は・・・80人くらいの方の予約が入っていたそうです。つまり30名方は予約をお断りせざるを得なく・・・いやぁ驚きました
メニューは色々迷い、日本食材にも限りがあるので、Nさんと話し合って結局、
隠元胡麻和え、茄子揚げ浸し、鶏の南蛮漬け、胡瓜とワカメの酢の物、アドリア海で取れた魚(アンコウ、マグロ)のお刺身、Nさんの故郷の味なめろう、鰯のつみれと鱈の真薯あさりの餡、太巻き、手まり寿司、スズキと海草の蒸し物ゆず胡椒のソース、天ぷら、梅酒のグラニテ、ほうじ茶のジェラートに白玉と黒糖寒天、冷たいあんこと、飲み物はアジア食材店で見つけたAサヒ SーパードライやKリン Iち番絞り(一部伏字になっていませんが)と日本酒。
飲み物込みで39€。
日本料理は完全に素人なので、フュージョンのような胡散臭い部分もあるのは事実です。。。
食事の最中に各テーブルを回り、お客様と話をさせて頂くと、食べた事無いけどおいしいとか、私札幌に行ったことあるのよ、という方だとか、会場のオープンキッチンで太巻きを切っていると、10歳くらいの子供が彼より小さい弟に「あれが太巻きなんだよ」と教えていたりとか、箸を本当に上手に使いこなしていた方もいたりと、かなり日本通の方も見受けられました。
好評だったのは胡麻和え、茄子の揚げ浸し、太巻き、スズキの蒸し物、天ぷら、ジェラート。
不評だったのは冷たいあんこ。豆を甘く煮る習慣が無いから、かなり奇妙に感じたそうです。と言うかみんな綺麗に残していました・・・
最後にマイクで緊張しながら僕が挨拶して、大きな拍手を頂き、無事幕を閉じました。
あー終わった。
主催のオーナーの話では、皆さん本当に本当に満足されたようで、良くやってくれたと。
次回開催は9月か、と言っていましたが・・・さぁどうでしょう・・・
しかし、胡散臭い小手先料理じゃなくて日本の料理もちゃんと知らないと駄目だなぁ。
今回痛感したことです・・・
[PR]
by pizzerialucci | 2009-08-04 10:16 | 遠距離シェフの日記

山の幸

ここマルケ州の人口600人の村に来て、早いものでもう半年が経ちました。
前回少し紹介したとおり、この地区では今まで出会った事のない野鳥、野生動物が数多く生息し、季節の野生の植物との新たな出会いも本当に多いです。
働いているリストランテやトラットリアで提供している、野鳥や野禽類(ジビエ)、野草を使ったメニューの影響もありますが、季節の花の香り、様々な野草の深い味わい、野禽類の地味深い味に触れる機会が増えて、本当に山の幸を満喫しています。

野禽類のことは、猟に同行できたら猟が解禁になる9月に詳しく書きたいと思いますが、
今日は食に関する季節の花々や野草のことについて書いてみます。

食用花は日本ではスーパーでも売っていますが、イタリアではスーパーでは見かけないものの、栽培しているところはあるようです。
でも、僕が働くリストランテで使っているのは全て山で摘んできたもの、八百屋さんから買うパック入りのものではありません。

どんな花がどんな風に使えるのかと言うと・・・例えば、
春先の洋梨の花(厚みのある甘い香りで、花は少し苦味がある)は野鳥の胸肉のサラダに散らしたり、ニワトコの花(淡い甘い香り)は花の香りを移してジェラートに、又その実はジャムにすると美味しい!
蜂蜜でおなじみのアカシアの花(上品な甘い香り)は衣を付けて揚げ、砂糖を付けて食べたり、若しくは牛乳に浸して香りを移しドルチェ用のカスタードソースに、日本でもお馴染みのラベンダーの花は香りを移してクレームブリュレを作りました。
また、ローズマリーの花(紫色の花)は花ごとジェラートにして淡い紫色のほんのりローズマリーの香りがするジェラートを作りました。
お客様の反応も良く、季節をしっかり感じることが出来るドルチェが手軽に出来ます。
道端に花が咲いているので、仕事行く途中に調達していく事もあります。
c0188145_2012979.jpg

:食べてもよし、香りだけ使うもよしのアカシアの花







また、野草についてはPimpinella(ミツバ草)、Caccialepre、 Rucola dei frati(野生ルッコラ)、 Crespigna、Cicoria(野生チコリ) 、Tarassaco(タンポポ)、Spinacci Cornuto(野生ほうれん草)、Rapponzola・・・等々、伊和辞典に訳が載っていないものもありますが、これらをサラダにして、若しくはこれらの野草とアーモンドで緑の野草のペーストを作りマルケの伝統パスタとあわせたり、さっと湯掻いて地元の美味しいオリーブオイルをかけて食べたり。全体的には苦味もそうですが、若干渋さを感じるものがあったり、さわやかな青い風味を感じるものがあったり、肉の付けあわせ(特に野禽類)としては本当に素晴らしいと思います。

山に住み山のものを料理して食す。何でも手に入る都市部に住んでいてはこんなに深くは考え及ばなかった、ある意味で贅沢な山の自然の恩恵をたっぷりと受けています。
この間書店で「食べられる野草・野花」の図鑑を買ってしまいました・・・と言っても道端の野草を自分の判断で食べるにはもう少し勉強が必要ですけど。


c0188145_20191331.jpg


:仕事に行く途中の道 料理に使える野草やら花やらが以外に沢山あるのです。
[PR]
by pizzerialucci | 2009-06-30 20:41 | 遠距離シェフの日記

休日には

先週の月曜から木曜日まで、この間まで麻布十番や恵比寿のエノテカやリストランテでブイブイバリバリやっていたソムリエの楠原さんが、こんな片田舎まで遊びに来てくれました。

楠原さんは、Lucciのブログともリンクして頂いているM子姉さん
http://ameblo.jp/chanelchannel/ が紹介して下さいました。
M子姉さんは、僕がフィレンツェで働いていた時に、たまたま来てくださったお客様のお知り合いで、2年ほど前、われらが店長の冨田と共に横浜でM子姉さんや皆さんとお酒をご一緒した経緯があります。

楠原さんは何とも羨ましい3ヶ月弱!の長丁場のイタリア旅行を敢行中で、フリウリ・ベネツィア・ジューリア州では片道2時間半の醸造所『Girolamo Dorigo』までの道のりを歩き、帰りは試飲で結構(かなり?)酔いながらもまた2時間半の道のりを戻り、ピエモンテ州では借りた自転車でBaroloやBarbarescoの畑や醸造所を激走、渡り歩き、トスカーナ州ではフィレンツェからレンタル自転車ごと電車に乗り込み、20キロの道のりを自転車で回るなど、ワインについて並々ならぬ情熱を燃やしています。やるなぁ。
こんな漢とは、やはり飲まないわけにはいきません。

僕が毎週通っている港町Fanoにあるエノテカ『Enoteca D'oste』で、
Fanoのリストランテで働くのぞみさんを誘ってマルケ州のワインのみで試飲を開始。
白はPecorino、Passera、Verdicchioというマルケ州土着品種に始まり、赤はマルケのSangioveseを試してもらい、その後はMontepulcianoとSangioveseの混醸を。
c0188145_4442049.jpg
閉店の21時まで粘り、場所を変えて『Osteria 26』でサラミ、生ハム盛り合わせと、この地方のパン(エミリア・ロマーニャ地方とのとは少し異なる)Piadinaで軽く食事。
ここでは白に戻って『Fazi Battaglia(確か・・・)』のVerdicchio dei castelli di Jesi Classicoを頂く。ここでみんなかなり酔ってましたね、ってそりゃそうか・・・4時就寝。

次の日は昨日同行したのぞみさんが働くリストランテでランチを頂きました。
ここのメニューは肉がなく魚だけと言う、そして魚もアドリア海でとれたものだけで、その日に全て使い切ると言うこだわりの店。
何度も伺っていますが、本当に好きな店です。ワインは『Mancini』のRoncaglia 2007 AlbanellaとPino neroという組み合わせの白。これも美味しかったなぁ。

翌日は僕が働くトラットリアにきてくれました。
楠原さんが来た時に開けようと思っていた『Moroder』DORICO RossoConero1997。かなり良かったですね、楠原さんもかなり気に入ってくれたみたいでした。
仕事後も今度は僕の家で朝6時くらいまで飲んだかなぁ・・・その日は量よりも1本をじっくり飲んだ感じ。

同い年で、目指すところに向かってちゃんと頑張っているソムリエとワインを共にするというすごく濃密で刺激的な時間。次回は日本で飲みたいっすね!!
[PR]
by pizzerialucci | 2009-06-17 04:52 | 遠距離シェフの日記
先々週から、今働いているトラットリアの定休日に祝日が重なり、暫く休日がとれずどこにも出かけられない日々の中・・・

5月29日30日に行われたマルケ州のCantina Aperta:カンティーナアペルタ(ワイン醸造所の開放日)29日の怒涛の土曜ランチ終了後に同僚のカルロとその友達の4人で参戦。
グラスを買うと好きな醸造所で試飲できる仕組み。ちなみにイタリアの他の州で開催されているところもあります。
飲食関係の仕事をしている人かガンガン試飲して、最後に直売所で色々購入していく人や、これを機会に地元のワインに触れ、新たなワインとの出会いを求める人もいれば、仲間とワインを片手にひたすらしゃべり倒している人も見受けられる。

62箇所の醸造所が開放されていましたが、2時間の休み時間では移動も含めて2箇所が限界でした。
駐車場から車があふれるほど混雑している「Bucci」で白Verdicchio dei castellidi Jesi 2007・2008・赤Pongelli 2006を試飲。
Verdicchio・・・では「Bucci」も好きなのですが、「La Monacesca」や「Santa Barbara」が造り手としては個人的にはやっぱり好きc0188145_426551.jpgかもしれない。今年のGambero rosso発行の『Vini d'Italia2009』でトレビッキエーリを獲得した2006年のRiservaを試飲してみたかったなぁ。
本当に行きたかったのはConero山の方やJesiの辺りなのですがなんせ時間がなくて・・・来年のリベンジを誓いました。

*写真は「Bucci」の醸造所にて、みんな試飲したり、つまんだり、しゃべったり。

帰り際に僕が勤めるトラットリアの近くの造り手「Fiorini」に寄って一通り試飲し仕事に戻る。
醸造所は不便な立地にあるところが多く、車で行く人が多いのですが。
う~む、多分皆さん●気帯びですかね、ここ最近は取締りが厳しくなったとはいえ・・・
ここはイタリア、気にしている人はまだそんなに多くないようですねぇ。
[PR]
by pizzerialucci | 2009-06-16 04:01 | 遠距離シェフの日記

いなかじまん

今日は、現在住んでいるMarche州はSerrungarina(セッルンガリーナ)や、
周辺の長閑な様子を少しご紹介。

夜は漆黒の闇そして静寂・・・満天の星空、少し前から蛍もそこらで飛んでいます。
そして、朝から晩まで小鳥がさえずり、仕事の帰り道は鹿、ハリネズミ、リス、野うさぎ・・・
色んな方に会います。イタリアでは田舎に居るというサソリ!にも4度ほど出くわしました。

この街は夏は国内外からの観光客で賑わうアドリア海沿いから、20キロ程山の方に入る丘陵地帯にあります。
地質は凝灰岩質、火山質が殆どで、この辺りで作られる白ワイン「Bianchello del Metauro」:ビアンケッロ デル メタウロ もミネラルが多く含まれるものが多いです。アドリア海で取れる軽い魚介の料理との相性は抜群です。抜群でした。c0188145_757218.jpg

:写真は住んでいるレストランの敷地内の隣に広がるBianchello種の畑

丘陵地帯の日当たりのよさを利用して小麦やスペルト小麦の生産も盛んで、車で走ると広く小麦畑やワイン畑オリーブ畑が広がっています。
特筆すべきはオリーブオイルでCartoceto(カルトチェート)という隣町ではイタリア政府のD.O.P認定(特定の原産地で作られ、オイルの科学的な成分分析を経て認定される一定の高品質の証)を受け「オリーブオイルの街・カルトチェート」と謳う町興しに一役買っています。c0188145_7542995.jpg

:写真はオリーブオイルの街・カルトチェートに広がるオリーブ畑

この地方の料理は冬は野鳥類、野うさぎ、いのしし、鹿等のジビエ(野禽)料理、鳩(飼育された)の煮込みやこれをパスタのソースにしたもの、マルケ全域にも見られる「Vincisgrassi」:ビンチズグラッシという鶏の内臓の煮込みを加えたラザーニャ、
景色も料理もイタリアの田舎の山間部の良さがすごく出ていると思います。
初夏の休みの日にドライブするならこういうところだろうなぁ。

c0188145_758596.jpg
:写真は少し遠くから見たカルトチェートの集落
[PR]
by pizzerialucci | 2009-05-26 08:19 | 遠距離シェフの日記
 現在店を移転中の東京は日本橋、僕が尊敬するイタリアンの巨匠であり、日本に帰る度に老舗店の江戸前鮨やら築地市場、東京でその時熱いイタリア料理店に連れて行ってくださる、M橋Hらくさんのブログのコーナーを拝借・・・してみます。
題して「遠距離シェフの周りの人々」。要は普段お世話になっている人たちを、半ば強引にブログで紹介してしまおうと言うもの。
 さて「遠距離シェフの周りの人々」第一回目は・・・この人、カルロ・ボアロ君!
c0188145_626384.jpg
今働くトラットリアの同僚(キッチンは僕と彼だけですが)であり、1980年生まれで同い年、イタリアでこれほど気が合う人が現れると思っていなかったくらい気が合うイタリア人。営業時間外では、よく腹筋が痛くなるくらい笑っています。

キッチン内での仕事の仕方も僕と似ていて、忙しくないのにキッチン内をバタバタ移動するし(落ち着いて仕事するべきです)、必要以上に洗い物を出す(これも好ましくありません)、用が無いのに常に動き回っている、要は2人して落ち着きがないだけですが。忙しい時なんかは「ちょっとお前落ち着けよ!」と注意し合ってますが、多分お互い様です。
でも実際は2人とも冷静に仕事していますから!
 イタリア版ミシュランガイドで三ッ星の「Le Calandre」をはじめ、イタリアの有名レストランを転々と修行してきた彼から学ぶ事は数多く、食材の知識もとても豊富、いつも勉強させてもらっています。大のしょうゆ好きで隠し味にしょうゆをたまに使います。だから、彼が味付けするものは、たまに僕の郷愁を誘うものになります。この間は、まかないのトマトソースにもしょうゆを入れていたけど・・・

意見もよく求められるので、料理の出し方、味付け、仕込みの計画を巡って話し合ったりして、狭いキッチンでよりよいアイディアを2人で出していこうという、すごく良い雰囲気のキッチンが出来上がっています。今年限定のコンビです。
[PR]
by pizzerialucci | 2009-04-27 08:31 | 遠距離シェフの日記
今日は、私が住むマルケ州のアドリア海に面した港町Fano(ファーノ)に伝わり、今も広くこの地域で飲まれているCaffe' corretto(caffe'はエスプレッソの事を指します)の一種について書きたいと思います。

まず、これはLucciでもお出ししているのですが、イタリア全土で食後に飲まれるCaffe' corretto(カッフェ・コッレット:エスプレッソに、サンブーカなどのアニス系のリキュールを入れたり、グラッパを入れたりして飲まれるもの)があります。
港町Fanoに伝わるCaffe' Moretta(カッフェ・モレッタ)は、寒い冬場の早朝も働く漁師の方が、体を温めるために飲まれていたのが起源だそうです。略してモレッタ、とオーダーの時に呼ばれています。Fanoやその近辺では、日常的にBar(バール:朝食、軽食も取れ、コーヒー、食前酒、食後酒を飲みに人が集まる)と呼ばれる街のいたるところにあるお店で飲むことが出来ます。とは言っても、殆どの人が食後に飲みます。

作り方は、レモンの皮を一片、砂糖を少々ガラスのエスプレッソカップに入れ、次いでラム酒・アルマニャック・マルケ州伝統のアニスのリキュールを注ぎます。それをエスプレッソマシンの蒸気で少し温め、砂糖を溶かします。最後にエスプレッソ、抽出時間を短めにして入れます。上手に淹れてくれるところだと、比重の重いアルコール度数の高いリキュール類が下にコーヒーが上にしっかり2層に分かれた状態で淹れてくれます。これが本物のモレッタだそうです。実際、アルコール度数は20度くらいあるんじゃ無いでしょうか・・・
印象は・・・ラム酒とアルマニャックの心地よいアルコール感と丸くて良い香り、アニスのリキュールの爽快感、レモンの皮で香りも引き締まって、短く淹れたコーヒーのどっしりとした香りと苦味が全てを受けとめる・・・感じ?(わかりにくいですね・・・)
ちなみに、お酒を扱っている店では、ラム酒とアルマニャックとアニスのリキュールが混ざった状態でビンに入れられて売られていて、気軽に手に入れることが出来ます。まだ試した事は無いですが、本当に上等なラム酒やアルマニャックを使って高級なモレッタを・・・一度試してみたい。ラムもアルマニャックもそのまま頂いた方がしっかり味わえるのはわかっているんだけども。

冬の寒い日なんかは朝から、この推定アルコール度数20%のモレッタを一杯あおってBarを出て行くツワモノもいます。それを見て負けじと僕も朝から一杯。確かに温まるし、美味しいんだけど・・・朝からどっしりしたアルコールを摂取すると言うちょっとした罪悪感・・・何か複雑な心境をもたらしてくれます。と言いつつ冬は、ほぼ毎朝オーダーしていました。

同じく、トスカーナ州のこれも港町Livorno(リボルノ)にも、これまた漁師の方に飲まれていた(る)というエスプレッソにラム酒を入れる、ポンチェとかポンチョ(もともとの語源はサンスクリット語らしい)とかというものがあった筈・・・

港町に伝わるご当地限定のCaffe' corretto。まだ見ぬ他の港町にもあるかもしれない。
Lucciのメニューに載せるかは只今検討中です。あんまり需要があるとは思えない・・・


c0188145_020488.jpg
左はちゃんと層に分かれたcaffe' Moretta
[PR]
by pizzerialucci | 2009-04-17 05:46 | 遠距離シェフの日記

最近の出来事

思えば久しぶりの更新・・・

マルケ州に移住して3ヶ月。田舎に引越して来て、仕事は別として、日常は凄く穏やかなんだろうなぁと高を括っていたら・・・
緊急出動が多い!
とは言っても、厨房に緊急で出勤というわけではないのです。
緊急出動命令はいつもオーナーから電話で・・・
ある日は朝7時に、いのしし(レストランで飼育している)を屠畜するから手を貸してくれと、ある日は休日の正午に同じレストランで働くルームメイトとごはんの用意をしていたら、今からミラノに出発するから30分で用意して、ついでに食材とワインも車に積んでおいて、とか。ある日は、朝8時に電話きて、出かけるから30分で用意して、一応コックコートも持ってきて、とか。
一昨日はこれまた朝7時に、復活祭に使うのに、仔山羊(レストランで飼育している)を屠畜するんだけど、人がいなくてさー、お前と農家の若い奴だけだからしっかり手伝えよ、とか。
お陰で、山羊、いのしし、豚、鶏、ウサギの屠畜に立会って処理の仕方を習い、今まで1回しか行く機会がなかったミラノにこの3ヶ月で7回も行くことになりました。この頃は僕も学んで、緊急出動用に旅行カバンは出動準備が出来ています。そして休みの日も(正午辺りは特に)気を抜きません!

ミラノには全ては展示会(ファッション関係の展示会やら、イタリア観光局の催しやら、全国の特産物の展示会やら、ある回は世界のビールの展示会!)に参加し、オーナーが指揮をとってマルケ州の特産物を売り込むためです。
今オーナーが行っているのは、クオリティーの高い州のオリーブオイルやワイン、パンやチーズ、サラミ、生ハム等の生産者らと一つの協会を作り、マルケ州から予算を充ててもらって、全国にマルケ州をアピールするということです。でもレストランから派遣されるのはいつも新入りの僕・・・だけ。ヒマそうにしているから?
この各生産者とレストランの強固な関係、そして市町村、都道府県ぐるみで一つになって、自分達を外に売り込むというのは凄く興味深いし、日本でもそう考えている街やら生産者がいてもなかなか形にするのが難しいのかなぁ・・・と勝手な想像を巡らす。

マルケ州は海もあるし、山もあるし観光資源はあるのだろうけど、外国人観光客も有名観光地に比べたら格段に少ないし、イタリア全国からの観光客もとりわけ多いというわけではないのです。明らかに国際的に知名度は高くない・・・そこで、世界から人が集まり、数多くの展示会が開かれるミラノでアピールしようというのです。
僕にとっては何よりも、毎回一緒に同行する生産者がほぼ違い、地域のワイン、オリーブオイル等についても生産者から直接話を聞けるのが本当に興味深い。マルケ州の特産物を知る上では本当に願ってもない機会です。勿論、参加したからには特産物の説明もしなければいけないので、話を聞きながら試飲をし試食をします。
c0188145_9544618.jpg

c0188145_9511223.jpg
日本でもどこでも行われている営業のように、展示会では、来場の方に試食試飲をしてもらい、生産者の話を聞いてもらい、以後のコンタクトを取り付けるのが狙い。試食を用意しているので、大体昼頃に人が大勢集まってきて「お前はマルケの生まれじゃないだろう」とか突っ込まれながら、特産物の説明をして、でも午前中や夕方には殆ど人がいないので、展示会に参加している色々な会社や団体のブースにワインやチーズサラミ等を持って売込みに行く、若しくは、生産者の人が興味を持った他の州の生産者のところに製品を持っていって試飲試食をしあう。そうでなければ夕方には、一緒に来た生産者の人たち(総勢2人から5人くらいですが)でワインを試飲、チーズを試食して簡単にアペリティーボを済ませてしまい・・・みんなで夕食に直行!という感じでミラノでは時間が過ぎていきます。

毎回緊急出動しなければならない点を除けば、ものすごく貴重で刺激的な時間です・・・
あっ明日休みだけど・・・まさか・・・

写真は先月のMIFURという 革とカバンの展示会で 
上:左はviscioleという野生種のさくらんぼ(アマレーナと同じです)を使った製品を手がける生産者イゴール氏、このさくらんぼとsangiovese種を使って作るワインがいい意味で変わっていて美味しい(温かいチョコレートのケーキと・・・うぅ)右は、殆どミラノで顔を合わせる、生ハムなどの豚肉加工品、品質の高いOlio di cartoceto D.O.P を造るGiardini 農場のアレクセイ氏、ここのオリーブオイルは、飛びぬけて香りがよく、色もよく、バランスも取れていて、重過ぎない、そして香りが口の中で長く続く・・・本当に素晴らしい!どちらとも、多分次回持って帰りますんで、お楽しみに。
下:あたくしが小さく写っています・・・
[PR]
by pizzerialucci | 2009-04-14 10:20 | 遠距離シェフの日記

早朝の屠畜

今週の火曜日水曜日と、私が勤めているリストランテと契約している、豚を飼って生ハムやサラミを造り、オリーブオイルも造っている農家(ジャルディーニ家)に手伝いに行きました。
人手が要ると言うのも、イタリアでは通常冬の寒い時期に行われる、農家にとっては重要であり重労働でもある、屠畜そして生ハム・サラミを造る、その当日だったからです。

朝6時に農家に集合すると、大量の薪がくべられたコンロの上には、湛えるお湯を絶え間なく沸かし続ける大きなドラム缶がある。みんなタバコを吸い、いつものように振舞いながらも、そこに漂うのは誰もが感じざるを得ない張り詰めた空気。
その日は午後までに2頭の豚を屠畜し、血を抜き、内臓を、傷つけないように取り出す。農家の主であるフィオレッロ・ジャルディーニ70歳が、豚を無駄にすることなく使うことだけが、唯一豚に敬意を払う方法だと、この人に言われて本当に納得できる印象的な言葉でした。

翌日も早朝に集合し、皆で手分けして今度はサラミ等の仕込みにかかる。
スジがなく味が良い部分の肉、その他の肉、皮とスジはそれぞれ分けて、腸はサラミ等を詰めるためにしっかり洗って長さを揃えて切って・・・と言った具合に男5人で黙々と作業する。
仕込んだのは、生ハム、肩肉の生ハム、サラミ、サルシッチャ(イタリアのソーセージ)、コテキーノ(肉と脂身と皮、スジなどを挽いて腸に詰めたもの)、コッパ・ディ・テスタ(頭の部分を使って造るサラミの一種)。肉を挽いたり、塩、胡椒、スパイスを計って、混ぜて。
サラミ、サルシッチャは腸に詰めて麻の紐で縛って、吊るして乾燥させて・・・生ハムを造る部位、頬肉の塊等は塩、胡椒、スパイスで覆い、一定期間塩分を中に入れ水分をだす。

この屠畜から生ハム造りまでの一連の出来事は、別に体験しなくても生活していけることだし、料理を作っていけるかもしれない。しかし、敢えて体験することによって初めて自分の中で咀嚼し始める事がことができる、料理することの中で生と死の持つ意味合いと、改めて自分自身に刻まれた食材を無駄にすることなく使う大切さ、そして感じる、それを可能にした先達の知恵と工夫と技術への感謝・・・
今まで普段何気なく触れてきた、生ハム、サラミや豚肉も、生と死、それと隣り合わせに生きる農家の人の生活、イタリアに伝わる先達が築いた食習慣、
これらを目の当たりにして思うことは、多い。c0188145_9273917.jpg
屠畜の前の小屋の様子、右がフィオレッロ


c0188145_9331715.jpg
サラミ用に荒く挽いた赤身にサイコロ状に切った脂身を混ぜる。生ハム造り60年のプロ、ジュリオ・トンビーニ
[PR]
by pizzerialucci | 2009-02-13 10:03 | 遠距離シェフの日記

Chiasernaの伝統的なパン

今回はイタリアのパンについて紹介してみます。

 個人的に思う全体的な特徴としては「素朴」だなぁ、ということです。人によっては、何か物足りなく感じるかもしれません。けれど、食事のときに食べるのが普通なので、日本で言えばごはんにあたるのでしょうか。そう考えると、素朴でも良い気がしてきます。
 普段日本で口にするのは、どちらかというとフランスだったり、ドイツだったり、オーストリアだったりの影響を受けているものが大半のような気がします。特にフランスなのかなぁ。
日本でイタリアのパンを食べる機会が殆どないと思うのです。
イタリアのパン(今回は食事用のパンとして、Pizzaを範疇から外して)は、粉、水、(塩)、(オリーブオイル)、ビール酵母(生イースト)、で大概が出来ていて、薪を使った窯で焼いているところもあります。
 今回僕が訪れたのは、50年以上前から薪で同じやり方で焼いているというパン屋で、
マルケ州のchiaserna(キアゼルナ)というところにあります。キアゼルナのパンはこの辺りでは有名で、特徴は塩を使わないこと、薪で焼くこと、オイルも使わないこと、捏ね終えた生地を毎日少し寄せておいて、次の日その生地を混ぜて使うこと(うまく発酵する)、です。
このパン、時間が経っても硬くならないんです。本当に昔から作られ、食べられている田舎パン。塩の入っていないパンは、特にトスカーナ州で食べられますが、香ばしくて本当に病み付きになります。
 夜0時に仕事が終わり、午前1時chiasernaに向けて出発。勿論眠いですよ。
小さな街に着くと、ひっそりと明かりがついている建物が。
中から、見るからに頑固そうで口のやたら悪いおばあさんが出て来て、本当に半ば雑なくらいに工房内を説明し始めました。彼女・アンナさん(78才)こそが53年間ここで毎日パンを焼いている主でした。毎日午前2時から朝10時まで、彼女の息子も手伝っていますが、今でも毎日働いているそうです。
薪を3基の窯に入れ、窯の温度を220度まで上がるのを待つこと2時間。
一つの窯(かなり広い)で56個のパンを同時に焼くというからびっくりしました。5人いるスタッフの動きのいいこと。本当に無駄な動きが無い。こうして、薪を入れる→窯の灰を払う→パンの生地を入れる→焼けたパンを取り出し薪をくべる、と一日何度も焼くそうです。
早朝4時には粉の香ばしく焼けた香りが工房全体に広がっていました。本当にいい香りがして、一つもらって早速試食。
おばあちゃんの好意で、サラミと赤ワインも出してもらいました・・・。周りの香ばしく焼き色が付いたカリカリの固めの部分も美味しいのですが、中のしっとりとしている、小麦粉の甘さがしっかり出た部分もおいしい。サラミとワインも頂いて、窯の熱で温まって・・・

焼き時間とか、発酵の具合とか、粉と水とイーストの配合とか全部が手触りや感覚で行われ、重さを量ったり、時間を正確に計ったりという事は一切しないで焼いていました。これぞ、ベテランの技。そして、さっすがイタリア、行程は適当に見えてもちゃんと仕上げてきます。
結局朝8時まで見学して、次はこのパンの小麦粉(マルケ州の小麦を使っている)を製粉している工場へ見学に行きました。
帰ったのは結局正午過ぎ。仕事は15時からなので家について3秒で寝ましたけど。
今も夢に出てきそうな、あの香ばしい香り、小麦粉の甘味、何ともいえない素朴さ、窯で温められた我々の早朝の気だるさ、おばあちゃんの口の悪さ・・・

写真は焼き上げたパンを取り出すアンナばあちゃん。
下は高温に達する窯を見つめるうちのシェフ・ルーチョ氏
c0188145_107769.jpg


c0188145_10105259.jpg
[PR]
by pizzerialucci | 2009-01-31 11:01 | 遠距離シェフの日記