Chiasernaの伝統的なパン
2009年 01月 31日
今回はイタリアのパンについて紹介してみます。
個人的に思う全体的な特徴としては「素朴」だなぁ、ということです。人によっては、何か物足りなく感じるかもしれません。けれど、食事のときに食べるのが普通なので、日本で言えばごはんにあたるのでしょうか。そう考えると、素朴でも良い気がしてきます。
普段日本で口にするのは、どちらかというとフランスだったり、ドイツだったり、オーストリアだったりの影響を受けているものが大半のような気がします。特にフランスなのかなぁ。
日本でイタリアのパンを食べる機会が殆どないと思うのです。
イタリアのパン(今回は食事用のパンとして、Pizzaを範疇から外して)は、粉、水、(塩)、(オリーブオイル)、ビール酵母(生イースト)、で大概が出来ていて、薪を使った窯で焼いているところもあります。
今回僕が訪れたのは、50年以上前から薪で同じやり方で焼いているというパン屋で、
マルケ州のchiaserna(キアゼルナ)というところにあります。キアゼルナのパンはこの辺りでは有名で、特徴は塩を使わないこと、薪で焼くこと、オイルも使わないこと、捏ね終えた生地を毎日少し寄せておいて、次の日その生地を混ぜて使うこと(うまく発酵する)、です。
このパン、時間が経っても硬くならないんです。本当に昔から作られ、食べられている田舎パン。塩の入っていないパンは、特にトスカーナ州で食べられますが、香ばしくて本当に病み付きになります。
夜0時に仕事が終わり、午前1時chiasernaに向けて出発。勿論眠いですよ。
小さな街に着くと、ひっそりと明かりがついている建物が。
中から、見るからに頑固そうで口のやたら悪いおばあさんが出て来て、本当に半ば雑なくらいに工房内を説明し始めました。彼女・アンナさん(78才)こそが53年間ここで毎日パンを焼いている主でした。毎日午前2時から朝10時まで、彼女の息子も手伝っていますが、今でも毎日働いているそうです。
薪を3基の窯に入れ、窯の温度を220度まで上がるのを待つこと2時間。
一つの窯(かなり広い)で56個のパンを同時に焼くというからびっくりしました。5人いるスタッフの動きのいいこと。本当に無駄な動きが無い。こうして、薪を入れる→窯の灰を払う→パンの生地を入れる→焼けたパンを取り出し薪をくべる、と一日何度も焼くそうです。
早朝4時には粉の香ばしく焼けた香りが工房全体に広がっていました。本当にいい香りがして、一つもらって早速試食。
おばあちゃんの好意で、サラミと赤ワインも出してもらいました・・・。周りの香ばしく焼き色が付いたカリカリの固めの部分も美味しいのですが、中のしっとりとしている、小麦粉の甘さがしっかり出た部分もおいしい。サラミとワインも頂いて、窯の熱で温まって・・・
焼き時間とか、発酵の具合とか、粉と水とイーストの配合とか全部が手触りや感覚で行われ、重さを量ったり、時間を正確に計ったりという事は一切しないで焼いていました。これぞ、ベテランの技。そして、さっすがイタリア、行程は適当に見えてもちゃんと仕上げてきます。
結局朝8時まで見学して、次はこのパンの小麦粉(マルケ州の小麦を使っている)を製粉している工場へ見学に行きました。
帰ったのは結局正午過ぎ。仕事は15時からなので家について3秒で寝ましたけど。
今も夢に出てきそうな、あの香ばしい香り、小麦粉の甘味、何ともいえない素朴さ、窯で温められた我々の早朝の気だるさ、おばあちゃんの口の悪さ・・・
写真は焼き上げたパンを取り出すアンナばあちゃん。
下は高温に達する窯を見つめるうちのシェフ・ルーチョ氏
個人的に思う全体的な特徴としては「素朴」だなぁ、ということです。人によっては、何か物足りなく感じるかもしれません。けれど、食事のときに食べるのが普通なので、日本で言えばごはんにあたるのでしょうか。そう考えると、素朴でも良い気がしてきます。
普段日本で口にするのは、どちらかというとフランスだったり、ドイツだったり、オーストリアだったりの影響を受けているものが大半のような気がします。特にフランスなのかなぁ。
日本でイタリアのパンを食べる機会が殆どないと思うのです。
イタリアのパン(今回は食事用のパンとして、Pizzaを範疇から外して)は、粉、水、(塩)、(オリーブオイル)、ビール酵母(生イースト)、で大概が出来ていて、薪を使った窯で焼いているところもあります。
今回僕が訪れたのは、50年以上前から薪で同じやり方で焼いているというパン屋で、
マルケ州のchiaserna(キアゼルナ)というところにあります。キアゼルナのパンはこの辺りでは有名で、特徴は塩を使わないこと、薪で焼くこと、オイルも使わないこと、捏ね終えた生地を毎日少し寄せておいて、次の日その生地を混ぜて使うこと(うまく発酵する)、です。
このパン、時間が経っても硬くならないんです。本当に昔から作られ、食べられている田舎パン。塩の入っていないパンは、特にトスカーナ州で食べられますが、香ばしくて本当に病み付きになります。
夜0時に仕事が終わり、午前1時chiasernaに向けて出発。勿論眠いですよ。
小さな街に着くと、ひっそりと明かりがついている建物が。
中から、見るからに頑固そうで口のやたら悪いおばあさんが出て来て、本当に半ば雑なくらいに工房内を説明し始めました。彼女・アンナさん(78才)こそが53年間ここで毎日パンを焼いている主でした。毎日午前2時から朝10時まで、彼女の息子も手伝っていますが、今でも毎日働いているそうです。
薪を3基の窯に入れ、窯の温度を220度まで上がるのを待つこと2時間。
一つの窯(かなり広い)で56個のパンを同時に焼くというからびっくりしました。5人いるスタッフの動きのいいこと。本当に無駄な動きが無い。こうして、薪を入れる→窯の灰を払う→パンの生地を入れる→焼けたパンを取り出し薪をくべる、と一日何度も焼くそうです。
早朝4時には粉の香ばしく焼けた香りが工房全体に広がっていました。本当にいい香りがして、一つもらって早速試食。
おばあちゃんの好意で、サラミと赤ワインも出してもらいました・・・。周りの香ばしく焼き色が付いたカリカリの固めの部分も美味しいのですが、中のしっとりとしている、小麦粉の甘さがしっかり出た部分もおいしい。サラミとワインも頂いて、窯の熱で温まって・・・
焼き時間とか、発酵の具合とか、粉と水とイーストの配合とか全部が手触りや感覚で行われ、重さを量ったり、時間を正確に計ったりという事は一切しないで焼いていました。これぞ、ベテランの技。そして、さっすがイタリア、行程は適当に見えてもちゃんと仕上げてきます。
結局朝8時まで見学して、次はこのパンの小麦粉(マルケ州の小麦を使っている)を製粉している工場へ見学に行きました。
帰ったのは結局正午過ぎ。仕事は15時からなので家について3秒で寝ましたけど。
今も夢に出てきそうな、あの香ばしい香り、小麦粉の甘味、何ともいえない素朴さ、窯で温められた我々の早朝の気だるさ、おばあちゃんの口の悪さ・・・
写真は焼き上げたパンを取り出すアンナばあちゃん。
下は高温に達する窯を見つめるうちのシェフ・ルーチョ氏
by pizzerialucci
| 2009-01-31 11:01
| 遠距離シェフの日記